平成30年度「破壊的な挑戦部門」最終選考結果発表

■最終選考総評

 平成30年度の公募説明会は過去最多となる全国16 か所で行い、また、初の沖縄開催など、離島や地方の隅々まで本プログラムをお届けすべく、周知活動にあたってまいりました。応募された方全員がイノベーション挑戦者だと感じています。このうち、【破壊的な挑戦部門】への技術課題のご応募は980件でした。最終選考では、一次選考通過の技術課題26件に対し、スーパーバイザーが「破壊的イノベーションを起こす可能性のあるAmbitious Technical Goals」を重視しながら自身の直感により評価いたしました。【破壊的な挑戦部門】の最終選考通過となる技術課題11件は以下のとおりです。
 選考においては既に完成された素晴らしい技術やアイデアは残らないことがあります。今回ご応募いただいた技術課題の中には、選考を通過した技術課題よりも実現性が高い技術やアイデアもたくさんありました。本プログラムにおきましては、今回の選考にない技術課題も、協力協賛企業グループとのマッチングプログラムに進む機会がございますので、是非、ご活用を頂ければ幸いです。

業務実施機関 株式会社角川アスキー総合研究所
異能vation事務局長 福田 正

■最終選考通過者 技術課題名

以下の技術課題が最終選考通過となりました。(五十音順)

※一次選考通過時の表記から変更しています

都道府県

氏名

技術課題内容

技術課題名

愛知県

オオミヤ ナオキ
大宮 直木

本邦のがんの罹患数は大腸がんが第1位、胃がんが第2位であるが、その検診受診率は低い状況にある。その背景には内視鏡検査が痛くて辛そう、恥ずかしいなどの理由が挙げられる。通常の内視鏡に比べ、カプセル内視鏡はただ飲み込むだけの検査で、苦痛や放射線被曝がない。ただ、従来のカプセル内視鏡では容積の大きい胃の観察はほとんど不可能である。また、保険適用されている大腸カプセル内視鏡は検査が長時間で下剤内服量が多く、普及していないのが現状である。その欠点を克服するために、カプセル内視鏡を体外から磁石で誘導し、1回の検査で食道〜肛門までの消化管を効率的に観察できるシステムを開発し、その検出能・安全性を検証する。

磁気誘導全消化管カプセル内視鏡の開発

東京都

カメオカ タカユキ
亀岡 嵩幸

本提案では体験者に尿失禁感覚を提示する失禁体験装置のさらなる改良と普及に向けた活動を行っていく。現状の失禁体験装置は排尿後の尿の感覚をリアルに再現可能であるが、尿意、排尿感といった人間の内蔵感覚とそれに付随する運動感覚の再現は十分ではない。そこでVR技術を用いた没入体験による尿意提示や冷却、電気刺激といった様々な物理アプローチも含め効果的な尿意提示手法を模索する。また、装置の活用方法や有効性を検証するために装置の小型化とモジュール化を進め、医療・介護・エンタメ業界など様々な領域と連携し具体的な応用事例の創出を行う。

尿失禁感覚再現装置のための尿意提示システムの改善と装置普及に向けた小型化、モジュール化

東京都

コン ユウキ
今 悠気

ハンガー反射は,針金ハンガーを頭に被ると意図せず頭が回ってしまう錯覚現象である.
このような運動を誘発する錯覚現象は,小さな入力刺激で大きな錯覚としての出力を知覚させることができ,例えば遊園地や映画館にあるモーションプラットフォームよりも小さなデバイスで身体を動かしたり傾けたりできる可能性がある.
本プロジェクトでは,ハンガー反射を軸として複数の運動誘発錯覚現象を統合するHMDシステムを開発する。これによりアプリケーションの一例として、HMDを被るだけの手軽さで身体を大きく揺動可能な、より怖くて楽しいVRジェットコースター体験を提供する.

ハンガー反射を軸とした運動誘発錯覚現象統合システムの基盤構築によるHapticHMDの実現

岡山県

セジマ ヨシヒロ
瀬島 吉裕

人は、感動しているとき、恋しているとき、やる気に満ちているとき、抑えきれない感情が瞳に宿り、輝きを放つ。そして、この輝く瞳に、人は強く惹かれる。このような人間が生得的に持っている生物としての魅力を、現状のコミュニケーションロボットは、瞳として再現できていても、瞳の輝きまでは表現できていない。そこで本プロジェクトでは、抑えきれない感情が宿ったときの眼球における内的運動を効果的に表現する瞳輝(どうこう)インタフェースを開発する。この瞳輝インタフェースをコミュニケーションロボットに導入することで、人を魅了し惹きつけるコミュニケーションをデザインする。

人を惹きつける瞳輝インタフェースの開発

東京都

タナカ カズトシ
田中 一敏

私は、人間に安心を与え、人間の安全を確保して、人間の仕事、家事、遊びを人間の側で支えるロボットを実現したい。これには、人間の意図を推定し、人間が次に行う動きを予測するロボット技術に加えて、ロボットの意図や運動を人間に推定させ、予測させるためロボット技術が必要である。このため、人間同士が互いに動きを読み合う対人スポーツ競技を題材として、人間と動きを読み合うヒト型卓球ロボットを開発する。そこでは、スポーツ動作を行う機械系と制御系、人間の運動を予測する認識系、人間に運動を予測させる行為系について検討し、統合する。

人間と動きを読み合うヒト型卓球ロボット

山梨県

ナカジマ ケン
中嶌 健

先日の西日本豪雨や東日本大地震など、一瞬のうちにライフラインが絶たれ、長期化する場面を目にする。電話やインターネットは、電気なくしては全く利用することができないため、非常通信手段として電気に依存しないものが必要とされる。かつては新聞社の屋上に鳩小屋があったと聞く。現場に駆け付け、どこよりも早く事実を伝える手段として、伝書鳩が使われたからである。今は通信手段としての鳩は姿を消したが、「レース鳩」として趣味の世界で生き残っている。しかしレース鳩の帰還率は減少しており、安定な通信手段になるとは言いがたい。そこでレース鳩帰還率の減少の原因を探り、鳩を通信手段として復活させることを目標とする。

レース鳩を再び伝書鳩に!~災害多発の今だからこそ~

香川県

ナカノ ユウスケ
中野 裕介

ニワトリの雛のオスメスの鑑別技術は、熟練した雌雄鑑別士によって行われてきた。国内で出荷される約2億羽の雛を100台のロボットで鑑別する技術を確立する。これまでに双腕型ロボットで雛をピッキング技術を実現しており、高速化または手法改良、特定部位の計測自動化および画像解析技術の精度安定化を実現する。栄養価の高い卵の生産は、インド、インドネシア等の人口が増加する国の持続可能な開発目標(SDGs)目標2飢餓をゼロに期待されるものの、生産性の高い白玉鶏の雌雄鑑別が課題となっていた。国内にとどまらず、グローバルな食料問題解決に寄与する。

ロボットによる初生雛雌雄鑑別

東京都

ナミカワ コウサク
浪川 洪作

近年、サラウンドやバイノーラルといった立体音響の技術は、様々な企業などによって製品化され、一般の人も目にする機会が増えました。このように立体音響が普及する中で、今回のプロジェクトでは複数台のスマートフォンを用いてそれぞれの端末で音の生成を行う立体音響のシステムおよび、それを用いたコンテンツの開発を行います。そして、最終的にスマートフォンの台数を数千〜数万と増やしていくことで、大規模空間における新たな音響的演出の一つとして使用することを目的とします。

分散型立体音響システムの構築およびコンテンツ製作

東京都

ヒロセ ユウイチ
廣瀬 悠一

編み物は、糸という連続的な素材に、その構造によって離散的性質を付与する手法である。糸と糸とのつなぎ方を体系化することによって、1目1目の集合で全体を構成するというデジタルなものづくりの方法が編み物なのである。この特徴により編み物は、編み図を用いて再現したり(copy)、元の状態に戻したり(undo)、そこから編みなおしたり(update)することができる。
この編み物で中実な(中身の詰まった)形状を造形することで、その離散的性質を、たとえば机やいすといった「かたいもの」にも応用できる。これがソリッド編みである。
本プロジェクトでは、このソリッド編みを自動化する機械「ソリッド編み機」の開発を行う。

中実な編み物を造形するソリッド編み機の開発

愛知県

フケ シンジ
福家 信二

先天性心臓疾患は全出生児の1%に発生し、その1/2-1/3は出生後1年以内に治療を必要とする新生児・乳児の健康に影響する疾患である。予後改善のため、様々なアプローチが行われているが、出生前診断は依然低率である。
予後改善には、訓練された医師、技師による全胎児検査が理想的であるが、現実では難しい。一方、正常胎児心臓診断は、心臓構造がほぼ相似形であるため、その診断は容易と考える。
本研究の目的は、1.正常胎児心臓モデルの完成と学習ソフトウェア開発、2.モデルを利用した正常心臓診断ソフトウェア開発である。以上より、正常心臓を診断し、“異常疑い”と判定された症例を専門施設に集めて予後改善を図ることである。

先天性心臓疾患(Congenital heart disease :CHD)の出生前診断法の開発

東京都

ワタナベ タカノブ
渡邉 孝信

トンボのような飛翔能力を持った超小型のセンサ・ノードをたくさん飛ばして、地球規模の多点環境センシングを行うことが最終的な目標である。本格的な人工筋肉が登場するのはまだまだ先のようなので、まずは現在入手可能な超小型モータを用いて、ギアとクランク機構で駆動する数十センチ大の羽ばたき飛行機を製作し、飛翔生物並みの運動機能の実現と自律飛行技術の開発をマイルストーンとしている。ようやく最近、ホバリング飛行から水平飛行まで、空中姿勢を大幅に変えられる垂直離着陸型羽ばたき機ができた。そこでこの異能vationプログラムでは、機械学習を活用した同羽ばたき機の自律飛行に挑戦する。

垂直離着陸型羽ばたき飛翔ロボットの自律飛行制御